「スタートの考え方、高い方が本当にいいのか」

2018.07.07 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(169) スタート

皆さんこんにちは、アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林秀樹です。この夏も綜合ユニコム様主催「計数管理研修」が開催されます。今回は基礎編と応用編が1カ月の期間を空けての開催になり、より受講しやすくなりました。また基礎編、応用編のどちらかのみの受講も可能です。

そこで前回から4回に分けて計数管理に関するお話をお伝えしています。今回は「スタート」についてです。店舗管理者が計数管理や機械整備でもっとも気にする「スタート回数」という指標を、ホールコンピュータ上のものと遊技客が感じるものと2つの見方から考えて見ます。

■ スタート値と体感スタート
一般的に遊技客の満足度を測るためには、データ管理の中でも主にスタート回数をチェックします。ところがここに落とし穴があり、データ上のスタート回数だけでは把握できないこともあるのです。

例えばある店長が競合店調査として他店で試し打ちをしたときに、1,000円あたりのスタート回数は自店とほぼ変わらないという結果だったとします。このときに、例えば同じ「スタート回数5.0回」というデータがあっても、
① コンスタントに回る5.0回
② 回ったり回らなかったりの5.0回
では遊技客の受ける印象はまったく変わります。この両者を比較すると、スランプの少ない方はスランプの大きい台よりも「回らない(停止している)時間が短い」ことになり、この場合ホールコンピュータのデータ上は同じ回転数ですが、遊技客の印象は「②のお店(または台)は回らない」となってしまいます。つまり、「何回まわったか」よりも「いかに回らない時間が少ないか」のほうが、体感上で受ける印象が強いのです。

■ 高スタート回数に固執しないこと
次に、「自店は競合店よりもスタート回数が高い」という状況を考えてみます。このとき保留玉の数が多いほど(=スタート回数が高いほど)回転効率重視となってリーチ出現率が低下します。パチンコという「ゲーム」を楽しむにあたり、大当りまでがいかにワクワクするか、演出で楽しめるかが重要なのですが、回せば回すほどリーチ演出が少なく、退屈なゲーム性となってしまいます。

ホールコンピュータに示されるスタート回数は「アウト玉数100個あたりのスタート回数」です。あまりに高すぎる回転数はオーバーフローを起こしている可能性が高く、遊技客は止め打ちをしていると考えられます。オーバーフロー状態でのある一定以上の回転数は、どれだけ回っても体感上は同じような回転数に感じます。

また、イベントを2日続けて行ったときや新台入替をしたときに、スタート回数を下げた2日目のほうがアウト玉数が高かった、ということがあります。これは、入替初日のスタート回数が高すぎたことにより初日は次のようなことが起こったと考えられます。
・スタート回が高過ぎたことでゲーム性を損ない、退屈感が出ること
・スタート回数を大幅に上げたことでオーバーフローとなり、止め打ちをするようになり結果的にアウトを下げてしまうこと

スタート回数がある一定以上になるとオーバーフローとなり、止め打ちとなるので「アウト100個あたり」の回転数は上がりますが「単位時間あたり」のスタート回数は上がりません。そうなると保留玉が多くなり、リーチ出現率が極端に低下して演出が面白くなくなるので、オーバーフローはパチンコ店にとっても遊技客にとってもあまりメリットがないといえます。

スタート回数は遊技客の満足度を測るための指標のひとつではありますが、「スタート回数は高いほどよい」という考え方は間違いです。このような現象をなくすためには、
・スタート回数以外の満足感
・適正なスタート回数とその他数値の把握
が必要です。高スタート回数に固執せず、確変ベースやT1Yとのバランスを適正にするのです。
ホールコンピュータのデータだけを見ていては把握できない事象もあります。「遊技客目線」を常に意識して数値の管理をしてほしいと思います。





綜合ユニコム様主催「計数管理研修」が開催されます。
今回は基礎編と応用編が1カ月の期間を空けての開催になり、より受講しやすくなりました。また基礎編、応用編のどちらかのみの受講も可能です。
なお両日とも東京ガーデンパレスにて開催いたします。

■ 基礎編 2018年7月19日(木) 13:00~17:00
現在のホールコンピュータには様々な数字が表示されています。それら一つひとつをただ受動的に見るのではなく、能動的に使っていくためには、各項目の意味と成り立ちを理解し、自分で計算ができるようにならなければいけません。
[基礎編]では特に遊技機メンテナンスに必要な項目の理解を目的としています。「覚えるではなく、理解する」がテーマです。

1.遊技機の管理に関する計数項目の理解
・特賞間を管理する項目(スタート、TS、BO)
・消費金額を管理する項目(ベース、BY、BA、B%、1,000円スタート)
・特賞玉数を管理する項目(TY、T1Y、T①Y)
 2.店舗の営業に関する計数項目の理解
・出玉を管理する項目(差玉、出玉率)
・利益を管理する項目(景品割数、機械割数)
・営業を管理する項目(玉単価、玉粗利、誤差玉、ほか)
 3.遊技機の運用シミュレーションの作成
・客滞率とBサの理解
・基本的なシミュレーションの作成
・応用シミュレーションの作成

■ 応用編 2018年8月23日(木) 13:00~17:00
[応用編]では、基礎編で学んだ基本用語と基礎知識を活用してより実践的な遊技機の運用についてお伝えします。特に日々の営業に関する悩みは計数管理を理解することで解決できることを学んでいただきます。
応用編の最後には、まとめとして遊技機管理の知識を計画に落とし込むための考え方を学習し、日々の営業で活用することができるようになっていただきます。

1.実践シミュレーション
・遊技機シミュレーションの考え方
・シミュレーションの組み立て方
・競合店の遊技機運用を推測する
2.営業への活用
・どうしても割数が落ちないときにどうするか
・体感スタートとHC(ホールコンピュータ)スタートの違いとは
・ベース管理が勝敗を分ける
・玉粗利ではなく玉単価を見る
・客滞率の重要性を理解する
3.営業計画の作成
・年度計画作成のポイント
・月間計画作成のポイント
・機種別計画作成のポイント
・メリハリの考え方
・進捗確認(週間集計)と修正のポイント

詳しくは下記綜合ユニコム様HPでご確認をお願いします。
皆さまのご参加、お待ちしております。
http://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/2018/0712.html
http://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/2018/pdf/20180712_0803.pdf

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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