「お客様自身の体験」よりももっと重要なこと

2019.05.05 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(212) 出そう、出なさそう、その印象はどこからくるか

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。先日、とある用事で大阪の江坂に行ってきました。そのときに旧知の友人と話をする機会があり、なかなか面白い話を聞けましたのでお伝えします。

その友人の経営する飲食店の近くに新店がオープンし、近くということでちょくちょく見に行ったそうです。その新店の印象を聞くと、 「最初はものすごく出ていたんですけど、ここ最近はまったく出ていないんです。そのせいでお客さんもどんどん減っていて・・・。もっと出さなきゃいけないですよね」というのです。

この友人、パチンコはしますがそれほどのめりこんでいるわけでもなく、1か月に1度ほどのいわゆるライト層です。このときは新店ということもあり週に1回程度の割合で行っていたそうで、そんな友人のこの意見、とても面白いと感じます。パチンコ業界に身を置いている人とは真逆のことを言っていると思います。

つまりこの友人は「出さないから、減った」と言っています。しかしこちら側の意見としてはおそらく大多数が、「当然、新店としてのオープン初期からすれば客数が減っていくので、出ていない(または出ていないように見える)」と捉えると思います。もちろん私の意見も後者です。実はこの友人がお店に行く2日前、件の新店に私は行っており、そこで回転数を体感しています。そしてその印象は「日曜日なのにこの回転数というのは、かなり出す気がある」です。それなのに普通のパチンコ客の意見は「出さない、出ていない」となっているのです。

そしてもう一つ。

友人は自分の遊んだ台の回転数に一切言及しなかったのです。「出ない」というのは、あくまで周りを見ての印象だけなのです。おそらくこれは「パチンコを遊ぶに際して十分な回転数でありその点で不満を感じなかった」から、逆に印象に残っていないのでしょう。
→「これが当たり前」と思っている。だからこそ自分ではなく周りの状況だけで判断する。

お店を良くする、つまり稼働を上げるためには回転数という「お客様自身の体験」よりももっと重要なことがあることを示した事例です。もちろん回転数が十分で「回らないと思わせないレベル」にあることは必要ですが、それだけでは「出そう、勝てそう」な印象を与えられないのです。それはホール全体の印象、活気、出玉感、清潔感といえます。少し本原稿の趣旨とは違いますがPiDEA.webで過去、私が近いことをお伝えした連載があります。(以下抜粋)
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 「今この厳しい状況でも高稼働を維持している店舗や稼働を上げているホールも存在します。同じ商品構成(機種構成)でいったいどこにこの差が生まれる要因があるのか。それは「面白さを演出するプロデュース力の違い」なのです。

「最近のパチンコは面白くない」、よく聞く言葉です。これは遊技機そのものの面白さを指している場合もありますが、大きくは「パチンコという遊び」自体を指していると捉えられます。だから「パチンコという遊び、遊んでいるそのひとときを面白くさせよう」、そのように考えて改善をしてきたホールが高稼働を維持、または稼働を伸ばしているホール=強豪店なのです。」
 (2015.11.15「ド底辺ホール復活プロジェクト」第43回より)
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「これだけ回しているのに何で稼働が増えないんだ?」と思っているホールさん、今一度トータルプロデュースとしての自分のホールの印象をチェックしてみてください。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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