伝説の開発者シリーズVol2-初代モンキーターンの開発の中核を担ったSENAさん

2023.11.15 / 機種

脈々と受け継がれるシリーズ機の元を辿っていくと、独自のアイデアを盛り込みヒットさせた開発者がいる。今回は初代パチスロ 「モンキーターン」の開発で演出の制御面などで中核を担った、山佐ネクスト株式会社のSENAさんに話を聞いた。


 

ボートレースをテーマにした週刊少年サンデーの人気漫画「モンキーターン」を原作とし、テレビアニメとタイアップしたパチスロ機。本機は、当時流行していたA+ARTを採用せず、ARTに特化させたボーナス非搭載のマシンとして2011年3月にリリースされた。

ART「SG RUSH」は1セット50G+α続き、1ゲームあたりの純増は約2枚。やはりなんといっても特筆すべき点は、シナリオ管理によって変動する継続率。そして、レア役などによるゲーム数上乗せで継続せずとも展開次第では固まった出玉を獲得できること。この2軸の出玉性能が、当時は斬新で面白いと評価された。

シナリオ管理型の継続システムだが、もちろんセットストックによる継続機能も搭載しており、1セットが長く続くほど、セット継続期待度も高まる構造になっている。

また、通常時の規定ゲーム数消化によるART抽選機能は、設定不問の狙い目を創出し、大きく稼働に貢献することになった。

液晶では、迫力満点のレースシーンやキャラクターの個性を生かしたコミカルな演出など、多彩かつ高クオリティーなアニメーションが楽しめ、総合的に非常に完成度の高いパチスロ機として人気を獲得した。

DK-SISによる稼働貢献週は50週貢献、累計台粗利も165万円を超える結果となり、小誌が実施している「PiDEAWARD2011」でもパチスロ部門の大賞に選ばれ、その年を代表する1機種になった。


①3795台からの導入だったが、口コミで話題となり最終的には5万4000台へ
部材調達難による緩やかな増台も追い風になり稼働躍進につながった

PiDEA X編集部(以下略編):初代パチスロ「モンキーターン」(以下略初代モンキー)は、その年を代表する機種にもなりました。販売台数はどれくらいだったのでしょうか。

SENAさん(以下略S):初代モンキーは、当時としてはスペックも変則だったので、初動の販売は苦戦しました。おそらく初週の導入台数は3795台で、そこから稼働が好調だったため増産がかかり、最終的には通常パネルが4万4000台。ピンクの青島パネルが1万台。合計で5万4000台のセールスとなりました。

編:当時はA+ARTが主流でしたが、そんな中でボーナスをなくすという選択をされたのは大きな挑戦だったのではないでしょうか。

S:ボーナスがないことが逆に機種の強みだと思っていたので、プロモーション的にも「ボーナスがない分、上乗せ性能が高い」という部分を強調していました。しかし、ホールさまからすると、「売りが立たない」と懸念する声が多く……。開発としては自信はあったのですが、厳しい評価に愕然としたのを覚えています。 編:導入後からすぐに面白いと話題になり、即増産となったのでしょうか。

S:初期の台数が3795台しかなかったのと、稼働も好調だったので一気に増産といきたかったのですが、導入が2011年3月で東日本大震災のタイミングと重なり、部材調達が難航し、1000台規模の増産を繰り返しました。新パネルの設置はチームとしても念願だったのですが、青島パネルが設置されたのは初期導入から8カ月くらいでしたから。

編:それは歯痒い思いもされたでしょうね。でも、あの当時を思えば仕方がないですね。

S:ただ、今振り返ってみると台数が少ない分、打ちたくても打てない人が多かったんでしょうね。アウトが2万枚~2万1000枚くらいを3週間ほどキープしていました。さらに、直後に出る新台に、稼働を取られるかなと思っていたのですが、意外と耐えていたのも印象深いです。

編:もちろん機種の面白さがある上での話ですが、ファンが一通り打ち終えるまでの期間が長引いたことで稼働が維持できていたということですね。ある意味奇跡的な出来事ですね。

S:直ATなので気軽に触りやすかったり、超抜チャレンジというちょっと不思議なゲーム感が物珍しかったのもあったかと思います。また、当時はSNSが今ほど盛んではありませんでしたから、人気が口コミでゆっくり広がっていったことも奏功したのではないかと思っています。

編:人気だけでなく、台数でいってもその年の山佐のトップセールスですよね。 S:その後に大きく導入されたのが「パチスロ鉄拳2nd」でしたが、初代モンキーの良い流れをつなげたと思います。

②初代モンキーは、入社3〜5年の新進気鋭の若手クリエイターが担当
A+ARTの構想で始まったプロジェクトだったが「いっそのこと……」

編:ところでSENAさんは初代モンキー開発では、どのような立場だったのでしょうか。

S:担当でいうとサブプログラムでした。演出抽選の制御の仕組みなどを含めたすべてをコントロールする中核のプログラム担当です。基本は裏方的なポジションでしたが、全体に関わっていたので、ゲーム性の根幹を作ったと思っています。裏ディレクションとでも言いましょうか。プログラミング作業もしつつ、チームの意見をまとめて当時のディレクターを口説き落とすといったようなこともありましたね。

編:ちなみに初代モンキーをつくったチームはどんな方々だったのでしょうか。

S:スペックや出玉設計、企画含めて、主担当は自分以外入社3年目の同期でした。そのため、主担当での開発は初代モンキーが初めてというメンバーでしたね。そういうこともあって、「何かやってやろう」という若い感性もあって、みんなモチベーションが非常に高かったです。

編:ボーナスを搭載しないARTタイプという挑戦について、市場や会社の背景も踏まえた当時の心境を教えてください。

S:まず、山佐として初めて取り扱わせていただくタイトルであることに加えて、ボートレースというジャンルもパチスロではあまりなかったので会社としては未知な部分が多いと判断していたと思います。ただ、プロジェクトメンバーは皆元々モンキーターンの漫画が大好きでしたし、やる気に満ちあふれていました。だからこそ、普通のことをやっても厳しいと理解していたので、チャレンジして一発新しいものを出したいと皆が思っていました。

 構想の段階では、初代モンキーも当時流行りのA+ART。そういう設計で進めていました。そしてARTを中心に考えると、ボーナスを少しずつ重くしていく流れになるのですが、重くするほどにそれに対する出玉恩恵も求められてしまいます。「じゃあいっそのことボーナスをなくして、純増2枚のARTオンリーでやろう」となったんです。

編:当時その判断ができたことがすごいと思います。

S:僕自身もA+ART機は面白いと思っていましたけど、ボーナスが噛み合わずに全然増えないということを体験していました。だからこそ、100ゲーム回せば200枚はもらえるというような、自分たちが打ちたいと思える上乗せ含めた面白さのあるARTをつくろうとなったんです。

編:初期の構想ではボーナスありで開発していて、途中からボーナスなし。しかもゲーム数上乗せをやろうとすると、相当な軌道修正だったのではないですか。

S:ボーナスをなしにすることは割と早い段階で決まったのですが、まだその時点では継続期待度を上げてSGレースで勝つという継続メインのゲーム性で、上乗せのゲーム性にはまだなっていませんでした。他社のA+ART機でかつ、ART中にゲーム数上乗せをする台が出てきて、仕事が終わったら毎日打っていたのですが、そこにインスパイアを受けて、継続要素も残しつつ、ゲーム数上乗せを加えられないかと自分から出玉担当に恐る恐る提案し、なんとか了承を得ました。次の関門は会社に追加の映像予算の承認を得るということでした。ゲーム数上乗せを追加するにしても、当時は上乗せ演出がもちろんありませんでしたので。 

③情熱的ディレクターSENAさんの開発哲学

「ディレクター指示をするのではなくお願いしてチームを成り立たせる」

編:一方でシナリオによって継続率が変わるという方式も斬新でしたね。これはどのようにして生まれたのでしょうか。

S:当時、継続率が一定の台はたくさんありました。突入時などに50%や60%が選択されるとずっとそれが継続するみたいな。そこにゲーム数上乗せを入れることで出玉の割合がとられます。「これだと継続率30%とかになるぞ」と、そこでまた壁にぶち当たったわけです。素直にやるとそうなってしまうんですね。そうした制約がある中で折り合いをつける方法。それがシナリオ管理型の継続率でした。

編:今でこそ多くの機種でシナリオ管理が採用されていますが、当時としては思い切った決断になったはずです。

S:以前にあったパチンコの権利物じゃないですけど、SGレース全制覇にかこつけて、ART自体を8連で切ってしまおうと。ただ、終了だけではさすがにということで「超天国」でループさせ、再びグランドスラムを目指してもらう。目指す物と変動する継続率を入れることで、面白さとか深みを増そうとしたんです。ゲーム数上乗せも良い要素となりましたが、継続シナリオが最大の発明だったかもしれないと今では思います。

編:打ち手として目指すべきポイントが明確になったんですね。

S:なかなか出玉の上限を切るというのは、打ち手からすると「なんで??」となってしまうと思います。そこは怖い部分ではあったのですが、それをやらないと出玉のバランスが取れませんでした。ゲーム数上乗せとシナリオによる継続率の両軸を楽しんで、最後は告白エンディングにいって通常に戻って天国モードをループさせる。そこでモンキーとしての大きな特徴ができたのかなと思います。

編:ちょっと調整を間違えれば不満だらけのシステムになる可能性もありましたが、絶妙な塩梅だったのですね。

S:受け入れられるギリギリのチューニングでした。ある程度そこに納得感があるか。そこで折り合いがついたと思えばそのシステムは許されるけど、開発本位な出玉の終わらせ方だとその台が嫌いになってしまいます。面白さだけを積み上げていってよくなるものもあるけれど、出玉性能に限りがある中でどれもこれもとはできません。今でも開発で話していることですが、「主役側になるものと、逆に悪役になってもらうものもあって成り立つよね」と。主役を引き立てるための悪役。無限大の出玉にはできませんので。

編:しかし、そんな血気盛んな若いチームがよくまとまりましたね。

S:若い者だけだとまとまらないですよ(笑)。当時僕は他のメンバーより3~5歳くらい年上で多少兄貴分的なところがあったのでどうにかまとめられましたが、同じ年齢同士だと本当に喧嘩しっぱなしでした。皆、今は場所は違えど開発として活躍しているので、優秀なメンバーに恵まれたと思っています。開発というのは、コンスタントにヒットを出すことが非常に難しい世界です。後継機であればある程度の流れを抑えつつ、常にトレンドを追いながら、それを加味した進化、違う要素を出す必要があります。チームの得意なレンジに人とタイミングが噛み合わないと機種としての結果が報われないことも多々ありますね。

編:SENAさんというか、開発の方ってかなり深くまで考えていらっしゃるんですね。

S:僕の場合は、伝えようとすることを頑張るがあまり「話が長い」と指摘されることもあります(笑)。「これをやってほしい」と何かをお願いする時に、ニュアンスのズレは必ず起きるので、文面でも口頭でもしつこくお願いします。ディレクターの仕事はメンバーに自分の思いを託すことだと思っています。 

④「前作は榎木、今作は青島だったから……」
開発当初からSENAさんが思い描き、絶対に盛り込みたかったものとは?

編:SENAさんは次機種「スマスロモンキーターンV」にも関わっていますか。

S:そうですね。今作では開発ディレクターとして携わっていますので、機種についてはすべて自分の責任の下進めさせていただきました。また、広告チームとも連携して販売に向けたプロモーション提案など行い、いろいろと関わらせてもらっています。

編:ではSENAさんが盛り込んだものの中で、特にユーザーに体験してほしいものはなにかありますか。

S:個人的に印象深いのは、Reolさんの「第六感」という楽曲です。オリジナルでつくるのではなく、すでに世に出ている楽曲を搭載することを、開発の序盤からずっと考えていました。そこを取れたのは大きい。3年くらい前から開発が始まっていたのですが、その当時からReolさんは超有名になっていて、「お願いするのは難しいかな」と少し感じていました。ただ、すごくかっこいい曲ですし、楽曲・アーティストの知名度、ボートレースファンからの認知度がバツグンだと感じていたのです。ボートレースファンの方からは「この曲が入ってるの!?」とPVの反響も大きかったですね。

編:上位ATの「青島SG」でかかる曲ですね。YouTubeでも6200万回以上再生されていて、すごくノリのいい曲ですよね。

S:映像が綺麗になったとかはもちろん良いことなんですけど、多くの人の心に刺さるのはやはり音だと思っています。耳から入ってくる情報ってすごく存在感があるので、PVをつくる段階からこの楽曲を絶対に搭載したいと思っていました。手前味噌ですが、PV後半の「第六感」が流れるところの構成は神がかっていると思います(笑)。

編:ファンに認知度が高いのは「ココロが止まらない」かと思いますが、一番こだわった楽曲を上位ATに持ってきたところにもこだわりを感じます。

S:パチスロのゲームとして比較的聴きやすいのが、お馴染みの「ココロが止まらない」ですよね。例えば、継続確定の状態で聞きたいのはやっぱりコッチで、逆にそこで新しい楽曲を持ってきてしまうと開発の強要みたいになってしまうのかなと。新しいものはご褒美みたいに、新しく目指す価値があるところというか、今までのパチスロモンキーターン像も含めてのどこの位置にいてほしいのかはよく吟味しました。

編:青島というキャラクターにもすごくマッチしていると思います。

S:青島のイメージに合う楽曲を探していた中で「第六感」がぴったりハマった感じですね。ただ、「上位ATがなぜ青島なんだ」とSNSで書き込まれているのを見かけました。「モンキーターン」はコンテンツ的に完結されていますが、パチスロではまだまだ伝えきれていない良いキャラクターにもっとフィーチャーしたいと考えていました。前作Ⅳでは榎木が上位AT「艇王ラッシュ」で活躍しましたので、今作は原作でも人気キャラの青島にフィーチャーした「女子王座決定戦」という原作要素の採用を開発当初から掲げていまして、その背景から今作は青島を上位的な存在として位置づけました。 編:スペック的にはどうでしょうか。

S:今作はスマスロの特徴をモンキーターンなりのバランスで表現しました。モンキーで純増4枚は初めてですし、新しいゲーム数上乗せ要素もたくさん盛り込んでいるので楽しんでもらえると思います。よく聞かれるのが「パチスロモンキーターンの面白さってなんですか」と。これという面白さが一個あるわけではなくて、いろんな通過点での面白さがあるんです。これらがいろいろあるから総合的に面白いと思うんですね。「モンキーターン」らしい遊びやすいレンジだけど、パンチはある。その1つが「青島SG」だと思っています。

 

 

©︎河合克敏・小学館/モンキーターンプロジェクト ©︎YAMASA ©︎YAMASA NEXT

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