広告なのに広告じゃない!? ステマ規制が間近に迫る2

その他情報

風営法と景表法
間に揺れるパチンコ業界

パチンコ業界では、広告宣伝は景表法を心配する以前に風営法第16条において「風俗営業者は、その営業につき、営業所周辺における清浄な、風俗環境を害するおそれのある方法で広告又は宣伝をしてはならない」と定められている。広告及び宣伝の内容が「著しく射幸心をそそるおそれのある行為又は法違反の疑いのある行為が行われていることをうかがわせるもの」である場合は、同条による規制の対象となる。
また、視覚に訴える広告及び宣伝のみならず、「聴覚に訴える広告及び宣伝も同条による規制の対象となる」とされており、多くの一般メーカーや小売業、サービス業とは異なるルールの元で広告宣伝を行ってきた。そのため、総付景品の配布に関しては景表法のルールを踏襲した形で実施してきたが、対外的な広告宣伝においては事実誤認や不当表示などと指摘されることはなく、課徴金などの対象となることはなかった。
そう考えると今回の「ステマ規制」はパチンコ業界にとってはあまり関係がないと感じている人もいるかもしれない。しかし、風営法を基にした業界ルールで成り立っている広告宣伝は他業種よりも厳しい。そこで、多くのホール関係者これまで、自店では発信できない情報を第三者である「メディア」や「インフルエンサー」「YouTuber」「晒し屋」などに依頼することで広告宣伝の代わりとしてきた。
こういったケースは今回の「ステマ規制」に抵触する可能性は十分にある。一般消費者が「事業者の表示であることを判別することが困難」という事例に沿うと、ホールと無関係を装う晒し屋が出玉情報やおすすめ機種をツイートするという内容に対して「#PR」や「#広告」という文言を付けなければ不当表示と言われる可能性は高い。
一方で、出玉情報やおすすめ機種などをツイートしたものに「#PR」や「#広告」がついていた場合、業界の広告宣伝ルールに抵触する可能性もあるわけで、どっちに転んでもホールにとってはマイナスということになりかねない。改めてステマ規制の内容をみてみると、指示処分に問われるのは依頼した側のみで、晒し屋など受け手にはペナルティーはなし。これからは発注する側のリスクが高まっていく。 

業界一丸となって動く
新たな広告宣伝ルール

業界内では10年ぶりに広告宣伝ルールの見直しが進められており、今年の2月には広告宣伝ガイドライン(第1版)が制定された。以前のルールではホールは何も広告宣伝らしいことはできなかったが、改正によって「おすすめ機種の掲示」や「遊技結果の表示(ランキング)」などがOKとなった。その後細かな禁止ルールが追加されたが、改正自体は歓迎すべきことだろう。
今回の改正内容はあくまでもホールが発信する広告宣伝ルールの見直しであって、外部に委託するような広告宣伝手法に対する明言はないため、「晒し屋」など変わらず利用するホールもあれば、ルールがしっかりと固まるまでは様子見というホールもあるかもしれない。
しかし「ステマ規制」がはじまれば、外部に委託する広告宣伝において行政処分を受ける可能性も高くなってくる。そんなリスクを犯してまで「晒し屋」を利用する必要性はあるのだろうか。
現状は過去の広告宣伝ルールとあまり変わっていないというホール関係者もいる広告宣伝の改正だが、新しいルールの中でできること、やってよいことを遵守し、「晒し屋」など、不要なリスクを排除して健全な広告宣伝を目指す方が逆にホールにとってプラスに働く可能性は高いだろう。 

一般人を装いホールのおすすめ機種や出玉結果などをツイートする晒し屋。ホールから謝礼をもらってツイートするならば当然「#広告」や「#PR」をつけなくてはならないが……。そんな対応をするだろうか。

 

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