消費者庁が乗り出した ステマ規制とは?
税金問題とは別に個人事業主であるインフルエンサーたちに衝撃を与えたニュースが流れたのは昨年の9月のこと。
デジタル大臣内閣府特命担当大臣である河野太郎氏が、ステルスマーケティング(ステマ)検討会の設置を発表。その後、会合などを重ねて年末に報告書を公表。今年の3月28日に景品表示法が禁じる不当表示に「ステマ」を追加した。
消費者庁が公表したステマ規制の運用基準によると、規制対象は広告主で、インフルエンサーなどの投稿者側は処分されないという。河野大臣は「消費者が何が広告なのかをしっかりと認識して(商品やサービスを)選択できるようにしたい」と話した。
都内で美容品などをSNSで紹介しているという30代の男性は「案件をもらう時は『PR』とつけて良いですか。と確認します。一部の企業からは今回はつけないで告知してほしいという要望を出してきますが、そういうケースは断るようにしています」という。
自らの意思で商品を購入してそのレビューをSNSや動画で投稿する際には「PR」などを明記する必要はないが、企業から対価を受け取り、情報を投稿する際には必ずそれらを明記する必要がある。この30代男性のように案件もクリーンに対応しているインフルエンサーもいるが、「PR」をつけないで投稿してほしいという企業からの依頼も少なからず存在する。ステマが横行しているのが実情のようだ。 これまで「私も愛用してます」なんて文言で化粧品や健康グッズを紹介してきたインフルエンサーたちだが、今後はそんな投稿文章の下に「#広告」とか「#PR」をつけることなっていくとして、「えーこれ広告だったの?」などと驚く消費者が大勢いるだろうか。
また、どれだけのインフルエンサーがそのルールを守るのだろうか。10月以降のSNSを改めて注視していきたい。
消費者庁が「ステマ」規制の運用基準を公表
金銭のやり取り露見で規制対象のリスク
そんなステマ規制はパチンコ業界にとっても大きな問題となりそうな気配である。その筆頭が「晒し屋」となるだろう。
現状は「晒し屋」アカウントが独自に調査した結果としてホールの出玉情報などをツイートするのが建前ではあるが、その多くがホール関係者から対価を受け取り、特定の日付や特定の機種の情報をツイートするステマであろうことは周知の事実。
あくまでも個人が見聞きした情報であるという体裁にすることで広告宣伝ではないという形を取ってきたわけだが、金銭のやりとりが露見した場合においては出稿元であるホール側にペナルティーが課せられることになる。消費者庁は無数に存在する零細企業のやりとり1つひとつまで、つぶさに調査するのだろうか。ここが機能するかどうかは、このステマ規制の肝になるだろう。
これまで晒し屋を利用するのは、自社発信の広告が打てないから利用するというケースが多かったかもしれないが、今年から広告宣伝のルール見直しが行われているため、現行ルールの中で行える最適な広告宣伝を再構築していくタイミングだ。これからは、もうグレーな広告宣伝を行う必要はないはずである。税の問題やステマ規制にひっかかるような危険な手法はやめて、健全な広告宣伝を心がけていただきたい。
ステマ規制で処罰対象となるのは広告主(クライアント)側