今日もどこかで誰かが炎上中 それでも止まらないのはなぜなのか?(2)

他業種以上にSNSを
活用するパチンコ業界

パチンコ業界はTwitterを中心に、TikTokやインスタグラム、LINE、YouTubeなど、SNSを積極的に広告宣伝ツールとして活用しているため、外部の晒し屋起用によって持ち上がる情報漏洩疑惑、来店演者のハンドル固定騒動など、多数のネットトラブルに見舞われる可能性は常に存在し続けている。
以前からお伝えしてきた通り、パチンコホール内には「設定情報」や「機械購入(入替)情報」「出店予定情報」など、外部に漏洩してはいけない機密情報が多い。だからこそ、SNSを活用していく場合は細心の注意を払い、社内コンプライアンスを徹底するだけでなく、外部取引先の身元も重視していくことが重要なのである。
SNSの活用していく上では社員教育を行う体制作りが重要だろう。もし社内にそのような体制が作れないのであれば、外部セミナーに参加したり、コンプライアンス担当者を育てるためのスキルを学べる外部組織を利用する手法もある。
やり方は企業によって異なると思うが、コンプライアンスに対する教育体制が不十分ならば、今すぐに行動すべきだろう。
吉野家のように大企業でないから多少のトラブルがあっても問題ないと考える人は少ないと思うが、それでも炎上ネタが頻繁に話題に上ってしまうのは企業コンプライアンスの意識が低いからと指摘されてもおかしくない。

パチンコ業界としてはこれが痛いのだ。世間というのは、個社の炎上事例を十把一絡げにするものだ。いつしか主語は「個社」から「業界」へと大きくなっていき、ワイドショーでコメンテーターに「パチンコ業界は〜」としたり顔をされる。

多くのユーザーが利用している現状をみれば、TwitterなどSNSを使った広告宣伝を行うことは間違いではないが、リスクをどのように回避するかを考えながら利用しないと、吉野家や船橋屋のように大きな損失を受ける可能性が常につきまとうことを忘れないでほしい。

厳罰化によりSNSの利用にはさらに注意が必要となる
匿名で誰でも気軽に始められるのがSNSのメリットだったが、後を立たない誹謗中傷を抑制するために厳罰化された。乱暴な一言に傷ついたり、自信を失ったりする社員は思いのほか多い

 

炎上は誹謗中傷を呼び
そのダメージは蓄積していく

自社の不手際がSNSを通じて拡散し炎上するケースをいくつか紹介したが、炎上した末に待っているのは誹謗中傷だ。
SNSでは負のパワーが非常に強く、炎上すると誹謗中傷につながり、企業としての価値がどんどんすり減っていく。たった一発の炎上ですべてが吹き飛ぶこともなくはないが、多くの場合では炎上したことでブランドイメージが下がり、結果的に業績に影響が出てしまう。また、社員も炎上したニュースをネットで目にするため、会社へのロイヤリティーが下がり離職にもつながっていく。これはボディーブローのようにじわじわと効いていき、気付けば立て直せないくらい社員がダメージを受けていたということもありうるのだ。
また、もう1つ忘れてはならないのが、SNS担当者を守るという視点だ。企業のアカウントで特定の人物や団体を侮辱するようなことはありえないが、反対に匿名のアカウントが侮辱されるようなことは日常茶飯事になってしまっている。えらい人というか、当事者意識のない人たちは「気にしないのが一番いい」などと聞いてもいない対策を勝手に押し付けてくるが、

SNS担当者はそうも言っていられない。目の前には侮辱してくる人がいるし、自社のイメージを壊さないように詫びたくもないことに胸を痛めつつ、言葉を選んで謝罪する。
侮辱罪の厳罰化は企業として歓迎すべきだが、同時に気をつけなくてはならない部分もある。これまで悩まされていたネット上の誹謗中傷に対して「気にするな」と無策でいると、SNS担当者が気を病んでしまうだろう。すると、社員を守ることもできない会社として、ブランドイメージは失墜する。大切な社員をプロテクトする体制をつくることもコンプライアンスの一貫といえる。

SNSは気軽に始められるプロモーションとして、広まっていったが、それ相応のリスクを伴う可能性もある。しかし、そのリスクを嫌って「やらない」という選択肢はもはや今の時代ありえない。まだ発展途上な会社は、2023年はコンプライアンスの意識を高める年にしていくべきだ。

社員のネット利用を常にチェックしているだけでは足りない?

自店でアイドル店員運用をする際にはその管理者がいることがセオリー。だが、四六時中見張っているわけにもいかず、しばしば炎上してしまう事案も発生する。不適切投稿をしない・させない環境作りも重要だ

 

<戻る