【経営者にこそ読んでほしい企業コンプライアンス】コンプラ重視なのは仕方ない、それでも必要不可欠なのが広告宣伝_2

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コンプラを上手に守るために
必要なのは判断力と〝相馬眼〟?


TV局の「コンプラ重視」は一方で、視聴者離れという弊害も引き起こしてしまっている。広告宣伝という企業にとって必要不可欠な活動をするにあたって、明確な物差しや基準を持つことが重要なのではないだろうか。これはパチンコ業界に限らず、すべての業種にとっても同じことが言える。
パチンコ業界では行政講話などによってその年ごとの業界課題が与えられ、それが全国の組合に通達され健全化に向けて日夜取り組んでいる。その枠組みの中でファン離れを引き起こさないプロモーションを実行していくというのはなかなか至難の業だ。リスクを回避する察知能力を働かせつつ、ファンにはアピールをしていかないといけない。重要なのは、その媒体や演者を見極める判断力だ。


池袋「パーラー富士」の公式Twitterアカウントを運用するH店長にも話を聞いた。
H店長は、日頃から「フェアリンとりちゃのすけとかいうのは面倒くさいただの構ってちゃんで自分にとって都合が悪いコメントする奴をアンチ扱いするしか能がないクソ女なので出禁にしますー」と痛烈な批判ツイートを投稿していることでも有名だ。その真意を率直に尋ねてみた。
「特に2人から迷惑を被ったわけではありません。その時、たまたま同業の方と『最近、有象無象の来店者が増えてますけど、危なくないですかね。反社とつながっている可能性もありますよね』みたいな話をしたので、警鐘を鳴らす意味合いで目立った2人の名前を出してツイートをしたのです」という。
実際にこうした演者を呼ぶこと事態、同店においては否定的であると担当者はいうが、他店が利用することを咎めるつもりは一切ないと話す。
一方、そうした演者の言動によって、自店が何かしらの処分リスクを負う可能性もゼロではない。それをどう回避するべきかと尋ねると「それは店舗の責任者(店長)の判断になるのではないでしょうか。長と付く役職者である以上、自らの力でその来店者を起用しても大丈夫かどうか見極めなくてはならないと思います」と話してくれた。

池袋にあるホールの公式ツイッター。時に業界に向けた真摯な意見をウィットを交えながらツイートしている。業界人のファンも多い。

 店長という肩書きでありながらもプロモーションに対する決裁権を持たせない企業もあるため、すべての人に当てはまるわけではないが、店長レベルでの判断がまず必要だという。
自店のプロモーションとして、来店者を呼んだ際の費用対効果を勘定することが店長の役目である一方、その判断が店舗や企業にとってリスクを伴うものではないかどうかの判断もまた店長の役目なのである。
しかし、パチンコホールを稼ぎ場所とする新しいが出処不明なフリー演者は続々と増え続けている現状において、判断しづらいというケースも出てくるかもしれない。
そこで、判断材料の1つとして第三者機関を活用することもオススメだ。例えば、「東京商工リサーチ」や「帝国データバンク」など、企業の信用情報を調査するシンクタンクなどを使っていれば、出処不明なフリー演者や聞いたことがないような代理店などはそもそも情報が出てこないため、不用意な取引につながることもない。こうした〝機能〟によって本社一括で管理するのも良いし、パーラー富士店長のような中小ホールであれば、機能を店長など現場に共有するのも悪くない。
そういった物差しを設けるだけでも十分なリスクヘッジとなるはずだ。仮にシンクタンクで情報が出てくる企業であれば、万が一のトラブルとなった際にも補償などの対応も可能だろう。一方で企業情報が出てこないようなところの場合は「情報漏洩」や「炎上」などのリスクに対する補償もできないはずである。
プロモーションの実行は店長の重要な判断の1つであり、トラブル回避のリスクヘッジは必要不可欠である。その判断を正確にするために、第三者機関の利用も検討してみてはいかがだろうか。

自身だけでは判断がつかない場合は外部に協力を依頼して身辺調査を行うのも一つの手法だ。反社チェックなどリスク回避するためには有効な手段といえる。

 

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