【経営者にこそ読んでほしい企業コンプライアンス】まとめサイトで取り上げられ炎上も、それでも〝晒されたい〟ですか?(3)

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「晒し屋」のツイートは
まとめサイトの格好のネタ

 前号でもお伝えした通り「晒し屋女子」と言われている「ぎゃるちゃん」が、「オススメ機種は●●」とツイートしておきながら、別の機種を取り巻き、友人など近しい人間で占拠したと指摘されて炎上した。「ぎゃるちゃん」は、そのような事実はないと否定をするが、この手の情報拡散力は非常に強く、「まとめサイト」が記事として公開し、さらに多くのユーザーたちの知るところとなった。
 ホールからすると、高設定を投入して多くのユーザーに来店してもらい、稼働をあげていくことを目的として晒し屋を利用するのだろう。普段はあまり来店することがないような人たちが押し寄せてくることも織り込み済みだろう。しかし、まさか依頼相手と取り巻きにオススメ台を占拠されるとまでは想像していなかっただろうし、本意ではないはずだ。その炎上騒動に一枚噛んでいると見られることで、店のイメージダウンにもなるだろう。
 以前、「れお@東海版」のアカウント名で活動している晒し屋が勝手に「キング観光サウザンド若宮大通り店」の平均差枚をフォロワーに予想させて、結果が近い人にアマゾンギフト券をプレゼントするというキャンペーンを実施。キング観光は晒し屋に対して、毅然とした態度で無関係であることを示し、該当のツイート削除を依頼したのだが、晒し屋が勝手にやったことでも、ツイートを見たユーザーはホールから依頼を受けて実施されたキャンペーンのように見えてしまい誤解を生む。
 この件も、ご多分に漏れずまとめサイトで取り上げられて格好のネタとなっていたが、即座に無関係であることとツイート削除の依頼をするキング観光の初動の対応が良かったことでイメージダウンを免れた。ただここで逆に考えてほしい。無関係であることの主張とツイート削除のセットで対応しなければ、関係があるということがバレバレなのである。
 晒し屋を利用するか否かは、ホールごとのモラルに委ねられているが、トラブルも起きやすいことは常に考慮すべきである。

空前の「暴露」ブーム!?
トラブルがカネになる時代

 ネット上のトラブルがまとめサイトのネタになり、さらに拡散され高いPVを稼ぐ。今はこうした炎上が金を生み出す時代だ。
 ご存知の方も多いかもしれないが、芸能界の暴露話をネタにYouTube動画を公開している「東谷義和のガーシーch」が注目されている。公開からおよそ1カ月半程度しか経っていないが、すでにチャンネル登録者は93万人(4月1日現在)を突破。「城田優」や「綾野剛」といった有名芸能人の裏話を披露していくとしてネットニュースになっている。公開する動画はどれも100万PVを超える盛り上がり。親交のあった芸能人や著名人たちは戦々恐々。出演CMの動画が削除された者もいれば、企業の社長の座を降りるしかなくなった人もいる。
 同じように暴露で注目を集めているのが、市川海老蔵の暴露を続けている小林麻耶。
 ひと昔前はゴシップなどを暴露したいと思った場合は週刊誌にネタを提供(売る)というのがセオリーだったが、今はYouTubeをはじめTwitterなどSNSが発達しているので個人でも簡単に暴露ができてしまう世の中。YouTubeならば、収益化することで報酬を得るようにすることも可能だ。
 このように、今は誰でも簡単に暴露できて、収益に結びつけることも容易な世の中になっている。だからこそホール営業に関わる機密情報を伝えて依頼する晒し屋を、利用するのであれば細心の注意が必要だ。フォロワー数が多いからといって、出処もわからない個人の晒し屋に安易にDMで依頼して、情報を提供するのにどれだけのリスクがあるか。
 炎上してからでは遅い。本当に晒し屋が必要か。法令遵守の観点から改めて見直してほしい。

「暴露」を武器に躍進するYouTuberが誕生。SNSや動画が発達しているからこそ、パチンコ業界のガーシーが登場するかもしれない。晒し屋の利用で出処不明の輩と機密情報をやりとりすることは大きなリスクが伴うことを忘れてはならない

 

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