利益追求と稼働追求が相反しないことを説明します

2018.12.08 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(191) “or”ではなく“and”

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林秀樹です。11月は過去最低レベルの稼働ではないかというくらいの落ち込みを感じました。そうなると、仕方なく利益率を高めて対応したお店も多かったのではないかと思います。

しかし利益率を高めることは短期的には結果を得られても、中長期的には拙い結果を招いてしまう恐れがあります。これまでは短期的な高利益率営業をした後には入替やイベントの実施という対策を行って顧客離れを起こさないようにしてきましたが、今はこれらの施策ではなかなか元に戻ることはない時代です。

ただ、現実的には「必要な利益の確保」は企業として絶対にしなければいけないことです。今回は、今この厳しい稼働(売上)の状況において、利益の確保と顧客離れを食い止めること(稼働の維持、向上)を同時に目指すことは可能か、ということについてお伝えします。

利益の計算はいろいろな手法がありますが、粗利金額を細かく分解していく手法として以下のように考えることができます。

・月間粗利=日数×日別粗利
・日別粗利=台数×台別粗利

例えば月間粗利が1500万、30日営業、250台として上記計算式に当てはめてみます。
・月間粗利1500万 =30日×50万
・日別粗利50万  =250台×2,000円

日数と台数は変更できないので月間粗利を決定したらそのまま台別に必要な粗利が確定することがわかります。つまり全台が毎日、上記の台粗利を確保できれば必ず必要な月間粗利が確保できるのです。

台粗利は「台粗利=玉粗利×アウト」という計算で求められます。例えば上記のように必要な台粗利が2,000円だった場合、
・玉粗利が0.40円で営業する場合、アウト5,000発あれば達成
となります。

ここで玉粗利を0.25円にするとアウトは8,000発必要と計算できます。あとは、
・どうすればアウトを8,000発にできるか
を考えることになり、稼働を増やすことを考えることはそのまま「お客様の満足を追及する」ことにつながります。

ここで注目するべきことは、
・必要な利益は確保している
ということです。決して放出して利益を減らすことはせず、台粗利として2,000円は確保することを前提にアウトを伸ばすことを考えることができるのがこの考え方なのです。

「“or”の発想をしている限り企業の発展はない。“and”の発想こそ企業発展のために必要なことである。」
これはジム・コリンズの著書「ビジョナリー・カンパニー」で述べられた言葉です。「どちらか」ではなく「どちらも」の発想こそ現状打開のために必要な考え方であり、「利益追求と稼働追求は決して相反しない」と捉えてほしいと思います。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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