【金曜】東上野グルメ 幻覚カルビラーメン

2015.03.06 / 連載

 復活! 東上野グルメ第14回 食いしんぼう

お疲れさまでございます。評価されない地味な仕事が激増し、校了日が近いのに人はいない、それに給料は増えないと不条理の嵐に呆然と立ち尽くしている編集部・黒幕でございます。こうなったら、やけっぱち。ストレス解消に大食いでもしようと訪れたのが、「食いしん坊」でございます。

「韓国ショップまるきん」や「アジアンダイニング・エベレスト」が目印の四つ角、通称「東上野のヘソ」から徒歩10秒のところに「食いしん坊」はございます。コリアンタウンのど真ん中。焼き肉とキムチの香りがただよう、パワースポットにございます。

お店に入ると妙齢のマダムが席に案内してくれます。そして注文したのは「カルビラーメン(白飯付)」(1000円)。

待つこと10分。真っ黒な丼に真っ赤なマグマスープが注がれた、地獄のごときラーメンが眼前にドーン! 食べる前から目が辛い。しかし、据え膳食わぬは男の恥(?)。鉄箸で麺をすすると、「辛ウマーーーーーーーー」。水を飲みながら、汗をかきながら、辛ウマ麺をすすっていると真っ赤なマグマの中から、ゴロゴロとデカいカルビが現れます。これがまた、柔らかく煮込まれていて、「柔ウマーーーーーーー」。辛くて美味い。柔らかくて美味い。美味い…。辛い…。柔らかい…。美味い…。辛い…。柔らかい…。ガッタン…シュッシュ…ガッタン…シュッシュ。この単調なローテーションを繰り返すうちに、私は機関車になったのでございます。機関士さんが動燃炉にスコップで石炭をくべるようにカルビラーメンを食いまくり、ひたすら汗をかき続ける。何度も何度も同じ動作を繰り返すうち、「そうだ、お前は機関車なのだ」と心の中で誰かが何度もつぶやくのです。シュッシュポッポシュッシュポッポーーーーー。麺を食い終わり、それでも機関車は止まらぬのでございます。「何か燃えるものはないか、燃えるものがほしい」。そうして、白飯に真っ赤なマグマスープをぶっかけ、動力炉に放り込むのです。スプーンという名のスコップで、マグマおじやをひたすらかっこんだのでございます。シュッシュポッポシュッシュポッポーーーーー。

「次は、終点上野〜」

そんな幻聴がして、ようやく箸が止まったのでございます。現実に戻った私は、ただのブラック企業の会社員でございました。あの、機関車の幻覚はいったいなんだったのでしょうか。早春の白昼夢、校了が見せた幻だったのでしょうか。不思議な体験でございました。

 

食いしん坊:食べログ3.03

東京都台東区東上野2-19-1

[月~土]
11:30~22:30(L.O)

ランチ営業

文・写真/編集部黒幕

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